BASKETBALL | [連載] 篠山竜青が今、考えていること

篠山竜青が今、考えていること【前編】(2026/05/12)

interview |

photo by Kazuki Okamoto / text by Miho Awokie

最終節の横浜ビー・コルセアーズ戦こそ美しいフィナーレを飾ったが、川崎ブレイブサンダースの2025-26シーズンの歩みは困難と混乱の連続だった。

16勝44敗、勝率.267、東地区12位。

生まれ変わりをはかった2024-25シーズンから成績がさらに落ち込んだことが、何よりの証左だ。

そのような状況の中で……そのような状況だったからこそなのかもしれないが、篠山竜青は淡々とコンディションを上げ、各種スタッツの数字を上げていった。特に昨シーズンから改造に着手した3ポイントシュートの平均試投数はキャリアハイを大幅に更新し、成功率も上々だった。

コート内外の振る舞いという点で筆者が変化を感じたのが、若手たちに関する発言が増えたことだ。今まではどちらかというと「自分で考えろ」ないし「言いたいことはあるけど言わない(言えない)」というタイプだと見受けられた篠山から、積極的に彼らに関わろうとしているという意思を感じた。

シーズン最終戦の後に、尋ねた。

──シーズンを通して、若い選手たちが試行錯誤しながら前に進もうとしているなと感じていました。彼らの姿に刺激を受けるようなこともありましたか?

篠山はこう言った。

「刺激を受けたとは別の話かもしれないですけど、どれだけあいつらの背中を押してあげられるだろうかとか、やろうとしていること、ほつれた糸をほどくことを手伝ってあげられるだろうかとか、これは自分でほどいたほうが自分のためになるんじゃねえかとか……。伝える側として新たにいろんな悩みを持った1年だったかなって思います」

──手応えは?

「わかんないです。だってそれは受け取る側の人たちの感覚でしかないと思うし。『僕が育てた」とか、『僕がアドバイスしたから』みたいなおこがましい思いは全然ないですけど、なんかちょっとでもちっちゃいきっかけとか、自信とか、そういったものがあるシーズンだったらいいなとは思います」

──例えば山内ジャヘル琉人選手は、うまくいかないときにシュンとしてしまうところもあると聞きます。声掛けは難しかったでしょうか。

「やっぱり強く言いたくなる時もあるし、これ言わなきゃダメなんじゃねえかって思う時もあるけど、飲み込んで背中を押したり、前向きな言葉に変換したり……どっちかっていうと飲み込むことのほうが多かったかもしれないですね。(米須)玲音に対してはもっといろんなことをガミガミ言ったりしたかもしれないです」

シーズンを終えて少し経ち、家族サービスの影響なのか少し日に焼けた篠山に、改めてこの話の続きを聞いた。

──例年以上に「若手をどうしようか」みたいなことを考えられている雰囲気が感じられましたが、いかがでしたか?

「今年はこれまで以上に若い選手が多かったですよね。玲音、ジャヘル、ロイ(伊久江ロイ英輝)、(岡田)大河。24歳以下が4人もいたことはさすがに今までになかったんじゃないかな。あとは今シーズンに関しては”同じポジションのライバル”というより”親子”に近い感覚になったのは結構大きいっすね。だから、息子を叱らなきゃいけないのと一緒で、この子たちのためにも、そしてこの子たちがこのクラブにいるからには言うべきことは言わなければいけない、みたいなシチュエーションもすごい増えたし。だから一番いろんなことを言ったかもしれないですね。厳しいことも含めて、口酸っぱく、何度も同じことをしつこく言うこともありました」

──米須選手にはわりとガミガミと、山内選手には言葉とタイミングを選んでとうかがいました。岡田選手、伊久江選手はどのように?

「大河に関してはあんまり言わなかったですね。むしろ先に大河から『甘いと思います』って言われたくらいです」

──詳しくうかがっていいですか?

「『ちょっとお話しさせてください』って呼ばれて、『みなさんすごく優しくしてくれるけど、自分は若手として見られたくない。戦力としてちゃんと見てほしいです』みたいなことを言われて『わかった』と。たぶんジェフさん(勝久ジェフリーヘッドコーチ)にも同じ話をしたのか、そこからジェフさんの大河への要求がものすごく厳しくなって、それに対して拗ねたりする時もありました(笑)」

──かなり落ち着いた印象を受けていたので意外です(笑)。

「それでいいと思うんです。いい意味で若いって大切だと思うから。特に大河はまわりだけでなく自分自身に対してもフラストレーションというか、納得いかない感情をたくさん持っている選手だと思うし、自分でいろいろ考えてやれると思ったから、『こいつには何も言わなくて良いな』って黙っていました」

──伊久江選手との関わり方は、また違いましたか。

「ロイはバスケ的なところだと…なんというか桜木花道ですね。まだまだ覚えなければいけないことがたくさんあって、そういうことを一つずつ教えていくという段階です。コミュニケーションをとるのはすごく上手だし、大人だし、めちゃくちゃいい奴なんですよ。英語が話せるので、ET(エマニュエル・テリー)とかオマール(・ジャマレディン)とかとの橋渡し役的なところもよくやってくれました」

【後編に続く】

PROFILE

篠山 竜青(Ryusei Shinoyama)
篠山 竜青(Ryusei Shinoyama)
1988年生まれ、神奈川県横浜市出身。178センチ(ウイングスパンは約190センチ)。小学生のときに兄姉の影響でバスケを始め、北陸高校、日本大学時代には日本一を達成。2011年にクラブの前身にあたる東芝バスケ部に加入。主力のポイントガードとして長きに渡ってチームを牽引してきた。好きな漫画は松本大洋の「ピンポン」。

著者

青木 美帆(Miho Awokie)
青木 美帆(Miho Awokie)
フリーライター。高校3年時にたまたまインターハイを観戦したことをきっかけにバスケに取り憑かれ、早稲田大学入学後に取材・執筆活動を開始。小4の息子に口喧嘩で負ける。 X:@awokie Instagram:@miho.awokie

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