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東北福祉大、櫻井頼之介の完投勝利で日本一に。初回の好フィールディングで流れを掴む|第74回全日本大学野球選手権大会・決勝戦 福井工業大学vs.東北福祉大学(ゲームレポート)

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photo by Reiya Kaji / text by Reiya Kaji

福井工業大 1- 8 東北福祉大

2025年6月15日(日)、東京・神宮球場。日本の大学野球の頂点を決める一戦が執り行われた。

試合前から両応援団によるエールの交換もあり、引き締まった独特の雰囲気の中、14時2分にプレイボール。

福井工業大の先発は、藤川泰斗(3年・西城陽)。2日前の中京大戦では7回1失点と好投した最速144キロ左腕だ。

2番・髙岡新時(3年・龍谷大平安)と3番・佐藤悠太(3年・報徳学園)に連打を浴びるものの、続く4番・5番を連続三振に切って取る上々の立ち上がりを見せる。

その裏、福井工業大の初回。先頭・渡部千博(4年・阪南大高)がいきなりセンターへヒット。センターが打球の処理にもたつく間に二塁を陥れた。

東北福祉大の先発は、連投となる櫻井頼之介(4年・聖カタリナ)。前日の青山学院大戦では、先発したものの3.1回を3失点と持ち味を発揮しきれずにいた。しかし、この日の櫻井は体がキレていた。続く2番・池邉由伸(3年・明徳義塾)が送りバントを試みるが、櫻井は迷わず三塁へ転送。二走・渡部をアウトとし、初回ノーアウト2塁のピンチがいきなりワンアウト1塁となり、流れを渡さない。

後続も打ち取り、櫻井は初回を無失点で切り抜けた。

続く2回、東北福祉大はノーアウト1・3塁のチャンスを作ると、8番・小山凌暉(3年・東海大菅生)の併殺崩れの間に1点を先制。3回には、三塁手のフィルダースチョイスで2点目。さらに7番・新保茉良(4年・瀬戸内)と8番・小山の連続タイムリーが飛び出し4点目。準決勝の青山学院大からも8得点、その前の試合の西南学院大からも8得点を奪っていた強力打線が今日も目覚める形となった。

タイムリーを打った小山

4回にも3番・佐藤のタイムリーとワイルドピッチで2点を追加、7回には6番・松本大輝(2年・智弁学園)のソロ、8回には途中出場の小島慎也(3年・帝京)もソロ。結局、決勝の舞台でも8得点を奪い、試合を決定づけた。

暴投でランナーが生還
松本の本塁打
8回に試合を決定づけるソロを放った小島

福井工業大は7安打を放つも、打線の繋がりを欠いた。6回裏には2番・池邉のタイムリーツーベースが出たものの、反撃はこの1得点のみ。

4投手の継投によって流れを変えたかったものの、それぞれヒットを許してしまい、波に乗れなかった。

2番手・永田陽大(2年・球磨工業)
3番手・向嶋大輔(3年・福井工大福井)。チーム最長となる4イニングを投げ試合を落ち着かせたが、2本のソロを献上し2失点。
4番手・齊藤夢(阪南大高)。気迫の投球で9点目を許さず。

東北福祉大・櫻井は最後までストレートの強さが衰えず、コンスタントに147キロ前後の速球をコーナーに投げ込んだ。得意とするスライダーも冴え渡り、連打・長打を許さず。

最終回となる9回表には力みが出たのか、初回以来となる150キロを記録しつつもこの日一つ目となる四球を与えた。しかし、福井工業大5番・伊藤航太(4年・滋賀学園)の大飛球をライト・佐藤が好捕し、味方の守備にも助けられる。

最後は、148キロのストレートを高めに投げ込み、空振り三振でゲームセット。東北福祉大学が、7年ぶり4度目の優勝を決めた。最高殊勲選手に選ばれたのは、今大会打率.440で強力打線を牽引し、決勝の舞台でも3安打を放った佐藤。最優秀投手は、もちろん櫻井。今大会23イニングを投げて防御率 1.96と抜群の安定感を示し、その名を轟かせた。

PROFILE

梶 礼哉(Reiya Kaji)
梶 礼哉(Reiya Kaji)
北海道江別市出身のフォトグラファー / ビデオグラファー / ライター。小樽商科大学在学中の2017年、ドイツ野球ブンデスリーガ傘下(地域リーグ)バイロイト・ブレーブスでプレー。MAX100km/hの直球と70km/hのカーブを武器に投手としてそこそこの活躍を見せる。卒業後、紆余曲折を経て株式会社ワンライフに所属。FERGUSでは撮影とインタビュー・執筆を担当。

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