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思わぬ形で初戦突破。救援陣が輝いた北海学園大が上武大を下す|第74回全日本大学野球選手権大会 1回戦・上武大 vs. 北海学園大(ゲームレポート)

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photo by Reiya Kaji / text by Reiya Kaji

上武大 4 – 5 北海学園大

北海学園大の先発は、最速159キロを誇るプロ注目右腕・工藤泰己(4年・北海)。しかし立ち上がりから制球が安定せず、四球で出した走者を暴投で返してしまい、ノーヒットで先制点を与えてしまう。4回裏には、上武大の先頭7番・岡村シルバー魁人(2年・静岡学園)にライトスタンドへ4点目となるソロを献上。ストレートの最速は155キロを記録したものの、実力を発揮しきれなかった。

先発の工藤泰己(北海学園大)
工藤からソロを放った岡村シルバー魁人(上武大)

この後、北海学園大はサウスポーの木村駿太(4年・札幌国際情報)にスイッチ。MAX147キロのストレートとスライダー、カーブ、フォークなど多彩な変化球をコーナーに投げ分け、3回と2/3を無失点に抑える。ピンチを背負いつつも要所を締めた。

北海学園大2番手・木村駿太

上武大の先発は、左腕エースの井出海翔(4年・佐久長聖)。上体をトルネード気味に捻る美しいフォームから140キロ前後のストレート、近い球速帯のスライダーとフォーク、緩いカーブを効果的に投げ分けた。北海学園大の6番・井樫のソロや3番・常谷の犠飛で失点を許すものの、5回を投げて2失点と粘りの投球を見せる。

上武大先発・井出海翔
上武大・井出と福田夢羽斗(4年・文星芸大付)のバッテリー

試合が動いたのは6回表。上武大は2番手の三村晃次郎(1年・平塚学園)にスイッチ。

上武大・三村晃次郎

右飛、四球で1死一塁としたところで、北海学園大の代打・柏原翔太(3年・旭川実業)が同点となるツーランを放った。4-4の同点とし、試合を振り出しに戻す。

同点弾を放った柏原を迎える

反撃を狙う上武大は7回裏、苦しめられていた北海学園大・木村から二死満塁のチャンスを作り、打席には侍ジャパン大学代表選考合宿への参加が内定している5番・西原太一(4年・宮崎商)。

上武大・西原太一

ここで北海学園大は投手交代、3番手・高谷舟(4年・札幌日大)がマウンドへ。すると151キロのストレートと130キロ台のスライダーを織り混ぜ、西原を三球三振に斬って取った。高谷はこのまま9回まで投げ抜き、上武大に反撃を許さなかった。

北海学園大3番手・高谷舟

9回表、北海学園大は先頭の火ノ川優作(3年・帯広大谷)が上武大4番手・高山侑大(3年・倉敷工)の154キロの剛球に食らいつき内野安打で出塁。

一塁ヘッドスライディングで内野安打を勝ち取った北海学園大・火ノ川優作
上武大・高山侑大

送りバントで1死二塁とし、1番・中島柊(4年・札幌日大)が打席へ。放った打球は平凡な遊ゴロだったが、乱れた送球が一塁側ファウルグラウンドを転々とする間に二走・火ノ川が勝ち越しのホームイン。これが決勝点となり、北海学園大が思わぬ形で初戦突破を決めた。

決勝のホームを踏む火ノ原

PROFILE

梶 礼哉(Reiya Kaji)
梶 礼哉(Reiya Kaji)
北海道江別市出身のフォトグラファー / ビデオグラファー / ライター。小樽商科大学在学中の2017年、ドイツ野球ブンデスリーガ傘下(地域リーグ)バイロイト・ブレーブスでプレー。MAX100km/hの直球と70km/hのカーブを武器に投手としてそこそこの活躍を見せる。卒業後、紆余曲折を経て株式会社ワンライフに所属。FERGUSでは撮影とインタビュー・執筆を担当。

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