FOOTBALL | [連載] 鎌倉デザイン室

鎌倉デザイン室vol.3 | Tomoya Onuki

interview |

text by FERGUS

我らが鎌倉インターナショナルFC(以下、鎌倉インテル)のインハウスデザイナーであるTomoya Onukiさんをゲストに迎えた企画『鎌倉デザイン室』。

第3回目となる今回は、2024年シーズンに向けて制作した作品のテーマについて話を伺った。

Club Without Bordersを体現したスタジアムを90分間でひとつにするデザイン

今回のデザイン制作において意識されたことやテーマについて教えていただけますか?

2024年シーズンのデザインのテーマを模索する中で、鎌倉インテルのブランディング責任者兼テクニカルディレクターの一馬さん(河内一馬氏)との話し合いで、「クラブのコンセプトである『CLUB WITHOUT BORDERS』との繋がりを意識したデザインを作ってほしい」というリクエストがありました。その中で、一馬さんが監督時代に口にしていた「スタジアムを90分間でひとつにする」という言葉が印象的で、それを今年のテーマとしました。

このテーマがどのような部分で良いと感じられたのでしょうか?

「スタジアム」という言葉がテーマに含まれているという点です。現在の鳩スタは移転が決まっているので、スタジアムをデザインのテーマにするのはぴったりだなと。また今シーズン、一馬さんから泊寛太さんへ監督が変わったこともあり、デザインの雰囲気も大きく変えたいという思いもありました。

では、テーマが決まった中で、それをどのようにデザインで表現しているのでしょうか?

デザインの異なるステッカーが集まっているのがポイントです。鳩スタに集まる選手やスタッフ、応援してくれる企業、スクール生、ファンといったそれぞれの個性がひとつになっている様子をデザインで表現しました。

たしかに、ステッカーが数多く組み込まれていますね。

はい。今回のデザインでは、遊び心を意識して、僕だけではなく、鎌倉インテルのデザイナー3人がそれぞれ作ったステッカーをグラフィックに取り入れました。こうすることで、テーマに沿ったフットボールや鎌倉のカルチャーなど、各自が考える要素をひとつのデザインに組み込むことができました。開幕時点ではステッカーの種類はまだ少ないですが、シーズンが進むにつれて追加する予定です。

あとは、よく見ると背景がサッカーコートのデザインになっています。バスケのデザインではよく見かける表現なのですが、今回のテーマである「スタジアムをひとつにする」という部分を擬似的に再現しています。

「熱狂」がスパイス

他に意識されたことはありますか?

「熱狂」という言葉を意識しました。この言葉は昨年クラブがリリースした「ホームゲーム・ステートメント」の中で使用されていたものです。ステッカーをぎゅっと集めるのはあくまでレイアウト上の話ですが、文字の配置に角度をつけて動きをもたせたり、選手の肌の色をサーモグラフィーのような色で熱を持たせたりして、整然としたものよりも、もっとカオスで賑やかな感じを表現しています。熱狂という言葉は今回のデザインにとってかなり良いスパイスになっています。

デザイナーチームでもっと良いものを。

最後に鎌倉インテルのデザイナーとして今年の抱負をお願いします。

これまで同様に、自分が設定したテーマを使って表現していくことには変わらず向き合っていきたいです。また、1人ではなく、他のデザイナーと協力して動いていくことも意識したいです。各々が作りたい表現がある中で連携面で苦労することもありますけど、チームとして動く方がデザインのクオリティもあがっていくと思うので、昨年よりももっと多くの人にみてもらえるように今年も頑張ります。

Tomoya Onukiがデザインした作品はこちらから。

PROFILE

Tomoya Onuki
Tomoya Onuki
デザイナー。現在フリーで活動中。大学在学中に参加したアンコールタイガーFC(カンボジアプロリーグ所属)のインターンにてデザインに触れを制作を始める。その後、鎌倉インターナショナルFCに出会い、2020シーズンより主にデジタル・印刷類のクリエイティブ制作を担当。

PROFILE

鎌倉インターナショナルFC
鎌倉インターナショナルFC
神奈川県社会人1部リーグ所属のサッカークラブ。『CLUB WITHOUT BORDERS』をビジョンに掲げ、日本と世界を隔てる国境をはじめ、人種や宗教、性別、年齢、分野、そして限界、あらゆる“BORDER”をもたないサッカークラブを目指す。

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