FOOTBALL | [連載] LAで求職中。

LAで求職中。 #week12 / 文・田代楽

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photo by Gaku Tashiro / text by Gaku Tashiro

「Resend me your resume.」

『I just resend my resume for your email』

「Got it. We will start your process soon.」

『マジか』

6月26日 恋人が

誕生日だった。家で冷凍のご飯をチンしながら、ふたりで撮った写真をみて、なんか、なんか、いまなんか言われたら空が泣き出しそうな、そんななんかだった。

でもロサンゼルスから手紙を書いていたときに、「あれ、なんかちょっとかっこよくない?この感じ♡」とちょっと思って人生を感じた。

お誕生日おめでとう。一緒にフリーマーケット、行きたいなぁ。

6月27日 トリビアの泉

はなんであんなにもムダなことにお金をかけて、それも上品なテイストで世に発表していたのだろう。
そういうものを世に残していきたいと強く誓った1日だった。(つまりトリビアの泉を観ていただけ)

6月28日 突然に

ミシェルが教えてくれた、この世で誰も知らないスポーツ(各方面に先に謝罪)こと「ピカボー」をしに公園に行った。

テニスコートには30人くらいのピカボープレイヤーが西日に照らされながらピカボーをしていた。途中、メキシコから来た御婦人とダブルスでペアになる。何度名前を伝えても「ラム」と呼んでくる御婦人。あまりにも理解しないものだから、ほら、ドラゴンボールに悟空っているでしょう。あれは「G O K U」ぼくは「G A K U」とゆっくり、丁寧な英語で伝えたところようやく理解してくれてそこから先は悟空と呼んでくれた。グラシアス。

そんなピカボーの休憩中、ご存知LAFCのリッチから連絡がきていた。それが冒頭のくだりである。
あぁ、どうやら書類審査が通ったら受かると言われているLAサッカー界で、面接に進める(1ヶ月ぶり2回目)らしい。

西日もすっかり影を潜めた夜、リッチにメールを返し、空を見上げた。
問題はこの面接がいつ始まるか。それだけである。

あとこないだ面接まで行ったけど普通にビザの関係で落ちてる。それだけである。

6月29日 温泉

同居人と話していた。WiSPAについて話していた。
当然ながら彼には裸で温泉に入る文化などなく、ましてやそれが最高に気持ちいいことも、日本人のオアシスであることも理解できなかったようだった。全く、こいつは、寒い中わざわざ温泉にいって中から外への地獄の通路をほんの少し我慢したものだけが感じることのできる冬の露天風呂の最高さを、その最高さを感じることのないまま死んでいくのか。お前の幸せはそれでいいのか、そう思った。

どのロジックで話をしても、怪訝な顔をするもんだからもうこっちもヤケになって、

「だから温泉は最高なんだって」
「俺の友だちは将来東京に自分の温泉を作りたいって言っていた」
「温泉に入ったときにしか感じることのできない幸せがある」
と超熱弁した。

寝る前、そういえばこっちにWiSPA以外の温泉はないのかしらと検索した瞬間、ずっと温泉だと思って発していた単語が「Off Spring」だったことに気がついた。温泉は「Hot Spring」である。

特に最後の熱弁があまりにも、だったので、ちょっと色々考えて、寝た。

6月30日 重鎮

実はコスコスと文章を書いては友だちに感想を聞いて回っていた。

渡米して3ヶ月弱、この連載で書いていないところでもLAFCとACFCの活動には参加していて(そんなに特筆したことがないけれど)感じたこと、考えたことをまとめていた。

そんなまとめを、せめて誰かの役に立てばとnoteにリリースした。

無事皆さんの大拡散のおかげで、日本サッカー界の重鎮たちにみていただき、めでたく僕のソーシャルメディアをチェックしていただくことになった。これは大変気まずい。とてもでないけれど変なことは書けなくなった。でももれなく仲良くしてくれているひとは文章を気に入ってくれているみたいで嬉しい。このままのテイストで書いちゃう。「Off Spring」は『子孫』という意味です。

7月1日 FERGUS(ファーガス)

がローンチされた。皆さんは知らないかもしれないけれど、ぼくはそのメディアで「LAで求職中。」と題する連載を掲載していただいている。そしてこの文章を書いている現在、その「LAで求職中。」の1週目の記事がメディアで最も見られているという。さっそく転職メディアにしてしまってカズキくんには申し訳ない気持ちでいっぱいだ。その肩書をもって、ビズリーチかリクルートエージェントで文章を書きたいのですが、どなたか知り合いはいませんでしょうか。

連載開始に伴い、数ヶ月前の記事を見返しているととんでもないやつだなと自分でも感じる。特に大使館に行ったあたりが1番やばい。怖い。途中、リッチと繋がったあたりから生活が安定したのとこれ以上やることがわからなくなってNetflixの感想とか書いているのも怖い。筆者はおそらく需要が全然わかっていない。

でも忽那汐里はいい。次、オフィシャルな写真を撮る機会があったら絶対にグリルズをするんだ。

7月2日 ディエゴ

相変わらずベニスビーチにいる。今日はバスケのイベントが行われいるようで、観客席が組まれ、ハイテンションの実況と、ヒップホップと、マリファナの匂いで包まれたTHE LAな空間だった。気がついたらそんな環境にも慣れてきた。

かけるくんに紹介してもらったディエゴがナイスガイすぎてかなり好きである。というかこっちで出会った日本語話者、もれなく全員好きなのである。みんな超いい人、みんな苦労している。

ディエゴはいい。つけ麺をいつも熱盛で頼むところも、いい。

PROFILE

田代 楽
田代 楽
無職。26歳。ロサンゼルス在住。 大学卒業後、Jリーグ・川崎フロンターレでプロモーションを担当。国内のカルチャーと融合した企画を得意とし、22年、23年のJ開幕戦の企画責任者を務める。格闘技団体「RIZIN」とのタイアップを含む10個以上のイベントを企画・実行。配信しているPodcast「Football a Go Go」はポッドキャストランキング・スポーツカテゴリで最高6位入賞。Instagram:@gaku.tashiro

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