FOOTBALL | [連載] 鎌倉インテル2023

懐かしさと 照れくささと 心強さと | #鎌倉インテルvol.9

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photo by Kazuki Okamoto / text by Kazuki Okamoto

なんだか照れくさい。

機材を持ってピッチに向かうと藤田、芝尾、興膳、宮崎といった鎌倉インテルを初期から支える面々が出迎えてくれた。

サッカー部だけなのだろうか。特有の「ウィー」の挨拶。
二日酔いじゃねーよな?だなんて冗談混じりに聞くと、「今日はね」と返って来る。

横浜・F・マリノスの大ファンのマオさん(篠田)とは会うたびにJリーグの話。
4年以上もあーだこーだ、好き勝手にお互いの好きなチームの近況を話している。

なんだか懐かしい。

当時は会社に同世代の同僚がいなかったので、鎌倉インテルの練習に行くのが楽しかった。
今思えば写真を撮る楽しさ以上に、同世代の仲間たちと話す時間が楽しかったのかもしれない。

「岡元さん、今日もオレ撮ってくださいね」と会うたびに言ってくる生意気な宮崎海翔も気づけば大学生になっていた。

鎌倉インテルのセカンドチームは神奈川県2部に所属しており、今までトップチームにいた選手が多く在籍している。

チームを率いるのは同い年の阿部貴也監督。トップチームを率いる河内一馬監督とは異なり、とにかく表に感情を出すタイプで熱い。このコントラストがまた良いのである。

昨年でサッカーをやめると言っていた藤田航規は今年セカンドチームでプレーを続ける決断をした。
12月の昇格決定戦では終了間際に出場するはずであったが、無念にもそのまま試合終了のホイッスルが鳴ってしまった。
1部昇格を決めて歓喜に湧くしんよこフットボールパーク。その瞬間彼は何を思ったのか。

ミラノダービー

4月23日日曜日。鎌倉インテルのセカンドチームのホーム初戦の相手は横浜ミラン、ミラノダービーである。

そんなミラノダービーにふさわしい、まるでセリエAの試合を見ているかのような試合展開。
前半を0-0で折り返す。

この試合直後にトップチームの試合があることもあり、多くのファンがみんなの鳩サブレースタジアムに詰めかけていた。

ファンの人数に関わらず、応援してくれる人が近くにいることは心強い反面、プレッシャーもあるだろう。

だが、プロサッカー選手ではない彼らに求めるのは決して華麗なプレーではなく、戦う姿や闘争心のようなもの。

平日はごく普通に働いている身近な選手が土日のプライベートの時間を使って一生懸命サッカーをしている。

相手を煽ったり、罵ったり、そんなダサい姿ではなく、とにかく目の前にいる敵に向かっていく姿。
そうやってファンの心を掴んだ瞬間、スタンドから一斉に拍手が起こるのだ。

後半が10分ほど過ぎたところで阿部監督が動く。藤田、興膳の2枚投入。
そしてついに、試合が動いた。

興膳が左サイドを切り裂き、PA内に侵入したところで倒される。

PKのホイッスルが鳴ったと思えば、すでに藤田の両手にはボールがあった。

そんな藤田はPKが上手い。

誰も彼のPKを心配することはなく、先制点。

余韻に浸ることもなく、決めて当然かのようにセンターサークルへと戻っていった。
せめてカメラに向かってポーズくらいしてくれてもいいのにね。

虎の子の一点を守り切ったチームはリーグ戦初勝利。
勝利後の表情はみんな素敵。

これから続く、長い長いリーグ戦。
シーズンが終わった後、オフシーズンの飲み会は参加させてくださいね。

PROFILE

鎌倉インターナショナルFC
鎌倉インターナショナルFC
神奈川県社会人1部リーグ所属のサッカークラブ。『CLUB WITHOUT BORDERS』をビジョンに掲げ、日本と世界を隔てる国境をはじめ、人種や宗教、性別、年齢、分野、そして限界、あらゆる“BORDER”をもたないサッカークラブを目指す。

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