FOOTBALL | [連載] 水色の街とカルチョ

【#3】水色の街とカルチョ/ 文・小林海青

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photo by Miharu Kobayashi / text by Miharu Kobayashi

ナポリの街を歩いていると必ずと言っていいほど毎日見かける人がいる。

そう、ディエゴ・マラドーナである。

街角にも、観光名所にも、なんて事ない壁にも、どこにだっている。

ナポリでは彼は本当に神様と同列の扱いをされている。

神様仏様マラドーナ様。

天気が良いとか足が痛くないとか、何かいいことがあるとすぐに「マラドーナのおかげだね」なんて言う。

ニコッと笑ってウインクしながら大人から子供までみんな言う。

1984年から1991年の間ナポリでプレーし、セリエA優勝をもたらしたマラドーナ。

サッカーという枠を超えて彼はナポリの人々の生活に驚くほど自然に溶け込んでいる。

信仰の対象だ。

彼がこの街で躍動しクラブにセリエA優勝をもたらした事を、ナポリの人々はこれでもかってくらい誇りに思っているようだ。

その栄光から何十年も経った今でも、みんな親戚なのかな?ってくらいマラドーナを愛している。

話を盛ってるわけじゃなくて、本当に毎日どこかしらで見かけるし、会話にも登場するのよね。

ここで突然チームメイトの亀の話をしたい。

なぜならば彼女が毎日声をかけながら餌をやりはちゃめちゃに可愛がっている亀たちの名前が「ナポレ」「ディエゴ」だからである。

そう、ディエゴ・マラドーナから名前を貰っているそうだ。

先日困った顔をしながら、「遠征の間、預かって貰えないか?」と聞かれた。

いやその遠征、私も行くんだが。

しかもいつも同室やん私たち。

なんで忘れた?イタリア人からもクレイジーだと言われている彼女の考えはよく分からなかったけど、とにかく彼女が溺愛している亀たちにもマラドーナの魂が受け継がれている。

まぁ彼女の出身はトリノなんだけれども。

そして彼女は生粋のユベントスファンだ。

もう意味が分からない。

ナポリの街を散歩中、遂にはこんなものを見つけてしまった。

え?!?!こわ!!!

偉大なるマラドーナそんな感じで飾るの?!ていうかそれは飾ってるって言っていいの?

足首に紐ぐるっぐる巻かれてるやん。

大丈夫そう?彼らなりの愛の形なんだろうけど、そうじゃなかったらまず作らないだろうけど、本当にそこに愛はあるの?状態。

でもまぁ、本気なんだろうな。

今日もナポリはこんな感じ。

PROFILE

小林 海青(Miharu Kobayashi)
小林 海青(Miharu Kobayashi)
サッカー選手。日テレ・東京ヴェルディベレーザ、ノジマステラ神奈川相模原を経て、2023年9月にSSDナポリ・フェミニーレへ移籍。カメラが趣味の左サイドバック。1992年生まれ。Instagram:@umiao_17

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