FOOTBALL | [連載] 水色の街とカルチョ

【#2】水色の街とカルチョ/ 文・小林海青

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photo by Miharu Kobayashi / text by Miharu Kobayashi

ザーッと雨が降って、急に肌寒くなってきたナポリ。

季節が変わりました。

でもまぁそれでも暑いんだよな。

オフの日はとにかく全力で遊ぶのがイタリア流。

私は日本だと家でダラダラしてお風呂でも入りに行っておしまい、みたいなオフがほとんどのインドア派だったので正直あんまり外に出たくない。

たとえそれがナポリでのオフだったとしても。

せめて公園でゆっくり昼寝でもしたいけど、きっと起きた時に荷物は全部無くなっているはずだしそのリスクを負う気にはなれない。

先日のオフは、「みんなでBBQするよ!」と言うので渋々行ったらプール付きのヴィラを予約していた。

気合いの入り方が違う。

昼間から始まったBBQは肉を焼くのもそこそこに、各々プールで遊んだりプールサイドで日焼けしながらうとうとしたり。

しっかり誰かがボールを持ってきていて水着のままサッカーが始まる。

外国人選手達はそもそも来ないか、夕方過ぎには帰って行った。

さて、困ったことにイタリア人は帰らない。

イタリア人達の車に乗せてきて貰ったもんだから、彼女達が帰ると言わなければ私も帰れない。

とんでもなく簡単なルールのゲームに夢中になり、勝つとタイトルを獲ったばりの大喜びをして肩を組みながら叫びまくる彼女たちに、帰りたいなんて言えない。

夜の21時近くになってもまだ突然プールに飛び込む奴がいたり、騒いで騒いで騒いでまた誰かが裸でプールに飛び込んだり。

全然終わらない。

挙げ句の果てには暗闇の中で、3人で同じ浮き輪の中に入ってプールからも浮き輪からも出れなくなっている謎の物体が生まれていた。

面白いよ、面白いんだけどいい加減にして欲しい。

帰宅の選択肢どこ。

人に会わない事が休息になる派だから(ほんとに根暗)ちょっと大変。

チームメイトが、「今日これだけ遊んだから明日はパワーがボン!だよ!」って言ってた。

パワーがボン!はよく分からないし少なくとも私は疲れ切っている。

イタリア人は友達や家族と過ごすことが回復だと信じて疑わない人が多い。

まぁ、確かにそれもいいかもね。

でも、パワーがボン!の日はまだまだ私には遠そうだ。

PROFILE

小林 海青(Miharu Kobayashi)
小林 海青(Miharu Kobayashi)
サッカー選手。日テレ・東京ヴェルディベレーザ、ノジマステラ神奈川相模原を経て、2023年9月にSSDナポリ・フェミニーレへ移籍。カメラが趣味の左サイドバック。1992年生まれ。Instagram:@umiao_17

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