アディショナルタイムに迫り、主審が時計を確認。
ゴール裏からベンチ付近に場所を移動し、35mmの単焦点レンズを構えてその時を待つ。
4年間待ちわびた光景が目の前に広がった。
泣く者
抱き合う者
うなだれる者
試合終了のホイッスルが鳴った瞬間の光景はとても美しく、無我夢中でシャッターを切った。
2018年6月ロシアW杯
ロシアW杯に行った際に、日本代表のサポーターから「知り合いが鎌倉にサッカークラブを作ったみたいだから、繋ごうか?」と話を受けた。
それは写真を撮り始めた頃の私にとっては目から鱗が落ちるような話だった。
当時のわたしは、仕事を終え、水曜日は「フットサルコート」へ向かい、木曜日はサッカーグラウンドへ。毎週のように終電で帰宅し、編集作業。
とにかく充実した日々を送っていた。
「○○からJリーグを目指す!」を掲げ、選手にコストをかける社会人チームが増える中、鎌倉インテルは当時社会人チームとしてはとても珍しい、自前のサッカーグラウンドの建設に向けて準備を進め、2021年3月に鎌倉市では初となる人工芝のサッカーグラウンド「みんなの鳩サブレースタジアム」を建設した。
湘南深沢駅から徒歩1分。毎試合100人以上のファンが集まる出来立てほやほやのグラウンドで撮影することが何よりも楽しく「いつの日か鎌倉に数万人規模のスタジアムができればいいな」って妄想を膨らませている。
神奈川県1部リーグの舞台へ
2022年シーズンに悲願の神奈川県1部昇格を果たした鎌倉インテル。
年が明けた2023年1月18日。チームを追いかけて5シーズン目となる今年初めての練習撮影へと向かった。
新シーズンに向けて「どんな選手が入ってくるのだろう」といったワクワク感はオフシーズンならではの楽しみでもあるが、これまでコミュニケーションをとってきた選手の退団は正直寂しい。「鳩スタ」の完成からわずか2年で、フットサルコートで練習をしていた頃を知る選手は2、3名しかおらず、それだけ選手の入れ替わりが激しいのである。
時間はかかるかもしれない。自分の妄想が実現することに期待を膨らませつつ、今年も撮影しようではないか。
このチームが私の原点なのだから。