BASEBALL

ドラ1候補・伊藤樹、アメリカ相手に冷静なゲームメイク。6回1失点で開幕白星|第45回日米大学野球選手権大会第1戦(エスコンフィールドHOKKAIDO)

article |

photo by Reiya Kaji / text by Reiya Kaji

第45回 日米大学野球選手権大会が、エスコンフィールドHOKKAIDOで開幕。侍ジャパン大学代表は初戦を6-1で完勝し、大会3連覇を狙う日本がシリーズの主導権を握った。

前日には球場で公式練習とレセプションパーティーが行われ、日米の選手がユニフォームを脱いで交流。最新鋭ボールパークの設備と開放感に「ここでプレーできる幸せ」を口々にしていた。そんな開幕ゲームを、現場カメラのフォトハイライトを交えながら振り返る。

開幕を盛り上げる演出。エスコンフィールドの本気。

開幕戦ということでセレモニーが行われた。それぞれの選手の呼び込みでは火花やライトを使った演出も惜しみなく行われるなど、大いに会場を盛り上げた。最初に堀井監督が呼ばれた際にはベンチ全員の笑顔が見え、チームの雰囲気の良さが伺えた。

報道陣にも「セレモニーの間は入ってOK」と案内をいただき、エスコンのグラウンドに立つことを許された。

天気が良かったこともあり試合開始直前から徐々に屋根が開き始め、涼しい北海道での気持ちのいいナイトゲームの始まりとなった。

開幕投手・伊藤樹が安定感抜群の投球。 

試合後のヒーローインタビューで「自分は球速が特別速くはない。なんとか試合を作れるように、という気持ちでやってきているし、そういう投手になりたい」と語った伊藤。その言葉通りの丁寧な投球を展開。テンポ良くストライクゾーンで勝負し、140キロ台後半の直球とスプリットを軸に6回4安打1失点4奪三振。開幕投手の大役にきっちり応えた。

打線が好調を維持。 

3回裏に3点を先制した侍ジャパン。先頭の9番・大塚瑠晏(東海大)がフェンス直撃のツーベースで出塁する。

その後ツーアウト一・三塁となり4番の立石正広(創価大)に打席が回る。弱いゴロがサードへ転がるも、悪送球により先制点を挙げる。その後もパスボールで2点目。アメリカ代表が浮き足だったところに、続く5番・小島大河(明治大)のタイムリーで3点目。相手のミスにしっかりとつけこみ、ヒット2本で3点を奪った。

5回裏には先頭3番・小田康一郎(青山学院大)の打った瞬間にそれとわかる素晴らしい当たりのソロホームラン。

 続く4番・立石も負けじとライトへ火の出るような当たりのツーベース。その後ツーアウト一・二塁となり、打席には8番・平川蓮。仙台大学に在籍しているが、札幌国際情報高校出身。スタンドにも平川の友人知人、後輩の野球部員らが多数来場しており、エスコンで名前がコールされるとひときわ大きな拍手が沸いていた。

2球目の甘いストレートを逃さずに叩き、ライト前へ。ダメ押しの5点目を奪った。

6回には再び小島がタイムリーを放ち、結局9イニングで14安打を放ち6得点。アメリカ代表の投手陣相手に、三者凡退のイニングを一度も作らなかった。

パーフェクトリリーフ

先発・伊藤の後を受けた救援陣もアメリカ打線を圧倒。7回・鈴木泰成(青学大)、 8回・毛利海大(明大)、 9回・佐藤幻瑛(仙台大)と繋ぎ、3回を無安打無失点。佐藤が初球に156 km/hを計測するとスタンドはどよめき、一気にゲームを締めた。

速球へのこだわりを強くもつ佐藤。平塚でのチーム合宿中、青山学院大のエース・中西聖輝が「佐藤とトレーニングの話をしていると、必ず「それって(球速が)速なりますか」と聞いてくる。それくらい突き詰めないとダメなんだな、と刺激を受けた」と話していたほどである。侍ジャパンのクローザーとして、存在感が大きくなっている。

2026 MLBドラフト全体1位候補・Roch Cholowsky(UCLA)の超絶守備

この日は遊撃手・チョロウスキーに打球が集中し、なんと27アウト中8つを一人で処理した。センター前に抜けそうな当たり、三遊間を抜けそうな当たりを好補しランニングスロー / ジャンピングスローをするシーンが何度も見られた。

チョロウスキーは高校卒業時点でメジャーリーグからも熱視線を集める選手だったものの、観戦した大学選手権でポール・スキーニズ(現ピッツバーグ・パイレーツ)が101マイル(約163km/h)の剛速球を投げ込む姿に心を奪われた。「大学であの舞台を目指したい」。そう決意したチョロウスキーはUCLAに進学し、強打と圧倒的な守備力に磨きをかけた。

今シーズンの公式戦では+20.15 DRSを記録。レギュラーシーズンから大学選手権まで、UCLA がプレーしたすべての試合で「平均的なショートと比べて約20点の失点を防いだ」ことを意味する。

大学で、来年のMLBドラフト全体1位候補と呼ばれるまでに成長したチョロウスキー。打席では無安打だったものの、メジャー級の守備力でエスコンの野球ファンを沸かせた。

初戦を終えた両チームは、第2戦を再びエスコンで戦う。侍ジャパンは好スタートを勢いに変え、3連覇へと駆け上がりたい。

PROFILE

梶 礼哉(Reiya Kaji)
梶 礼哉(Reiya Kaji)
北海道江別市出身のフォトグラファー / ビデオグラファー / ライター。小樽商科大学在学中の2017年、ドイツ野球ブンデスリーガ傘下(地域リーグ)バイロイト・ブレーブスでプレー。MAX100km/hの直球と70km/hのカーブを武器に投手としてそこそこの活躍を見せる。卒業後、紆余曲折を経て株式会社ワンライフに所属。FERGUSでは撮影とインタビュー・執筆を担当。

Feature
特集

Pick Up
注目の話題・情報