7月8日にエスコンフィールドHOKKAIDOから開幕する、第45回日米大学野球選手権大会。

開幕前の練習試合は3試合組まれているが、その中には横浜DeNAベイスターズ二軍との試合も含まれる。結果としては6-5で侍ジャパン大学代表が勝利を納め、プロ野球で戦う選手たちと堂々たる試合を見せた。

ドラフトの目玉・中西聖輝 vs. 横浜の新星・吉野光樹

横浜DeNAの先発は、吉野光樹。昨年頭角を表し3勝を挙げ、巨人とのCS第3戦でも先発を任され、チームの逆転日本一に貢献。期待の右腕である。

初回は僅か12球で三者凡退に抑え、素晴らしい立ち上がり。2回には内野ゴロの間に1点を失うものの、3回を投げて1失点と序盤の安定した流れを作った。

一方、侍ジャパン大学日本代表の先発は、青山学院大学の中西聖輝。前日に先発した伊藤とともに、堀井監督から「投手陣の中心」として名前を挙げられている。先の大学野球選手権でも、チームをベスト4へ導いたプロ注目の右腕。

しかし、先頭の神里和毅にいきなりライト前に運ばれると、その後エラーも絡んで走者を溜めてしまう。セカンドフライ、三振でなんとかツーアウトとしたが、続く関根大気にしぶとくセンターへ運ばれ、先制タイムリーを許した。

狙い通りゴロを打たせたものの、三遊間への打球が飛ぶことを予測した中西がショートの大塚瑠晏（東海大）のポジショニングを少し移動させてしまっていたという。

試合後の囲み取材で、中西は「プロ相手であることを意識しすぎてしまった。名前負けした」と反省の弁を口にした。しかし2回以降は復調。堀井監督・森本コーチらの「通用すると思っているから代表に選んでいる。変化球でかわすのではなく、ストレートで勝負しよう」という言葉にも励まされ、ストレートの投球割合を少し増やして臨んだ。

結局、4回まで55球を投げ、2失点4奪三振と好成績をマーク。「まっすぐはもっと突き詰めていかないと勝負にならないですけど、自分の得意とするカーブやフォークについては空振りや見逃しを取れて、いい反応を見て取れた」と一定の自信を覗かせた。神里、関根、勝俣ら一軍での実績もあるメンバーに対して、堂々の投球となった。

技巧派左腕・宮城誇南⇨剛腕・佐藤幻瑛の豪華リレー

中西の後を受けてマウンドに上がったのは、早稲田大学の左腕エース・宮城誇南。早大では前日の先発・伊藤樹に次ぐ2番手で、東洋大・島田舜也投手の出場辞退に伴い追加招集された。

神里に一発を浴びる、弱い当たりが不運に抜けるタイムリーなどで2失点を喫するも、同点・勝ち越しは許さずに凌いだ。

イニング間のベンチ前でのキャッチボールでは中西が宮城のボールを受け、変化球の曲がりを確認する場面も。急造チームながら、徐々に関係性が強固になっていく様子が見て取れる。

7回途中、 1死二塁からは仙台大・佐藤幻瑛にスイッチ。東妻純平に初球を打たれ同点とされるが、以降は試合終了までの2回⅔を無失点に抑える好投。ストレートの最高球速は156キロを記録し、三振も3つ奪った。球速が上がる度にスタンドはどよめき、DeNA打線を圧倒。1点差ゲームをものにする鍵となった。

最終回にマルセリーノから勝ち越しを決める、勝負強い打線

投手陣が粘れば、野手も応える。点を取っては取られ、というシーソーゲームの様相が続いていたが、最後は9回表にマルセリーノから渡部海（青山学院大）が執念でレフト前に落とし、勝ち越し。DeNA投手陣から13安打6得点と、前日の三菱重工戦に続き打線の破壊力を証明する形になった。

この翌日に行われた東京ヤクルトスワローズ二軍との試合は4-4と引き分け、開幕前の3試合を2勝1分と無敗で乗り越えた。プロからの注目を集める選手も多数抱えるスター軍団が、チームの輪郭線をはっきりとさせる充実した期間となった。チームは7月7日に北海道文教大学で練習を行い、8日の開幕に備える。