LAFCの選考、待てど暮らせど始まらないの、なぁぜなぁぜ?
その選考が進まないと、ただの観光客になっちゃうの、なぁぜなぁぜ?
ということで今週の連載は、なにも起こらないの、なぁぜなぁぜ?
6月12日 2ヶ月
ついに2ヶ月がたった。早かったかと聞かれたらそんなことはない。長すぎた。この連載をはじめから読んでいただいているかたはご存知の通り、大抵どの冒険系も最初が最も波瀾万丈で、衣食住が落ち着いて、なにかのレスポンス待ちのような状況になると、そこまで日常に波もたたない。(その証拠に明日の日記はNetflixのレビューである。)
ACFCの選考は最終の局面でビザ問題にひっかかり、あえなく残念な結果になって、本命のLAFCはブランディング責任者リッチからの紹介でアプライ。現在選考待ちである。緊張しているかと言われるとそうでもなく、彼と知り合うこともできたし、VBFCは楽しいし、腰は若干痛いけれど友だちはたくさんできたしで、もう結構満足な生活になってしまっている。
今後のために、盛大にフっておいて今日の日記を終わろうと思う。
6月13日 XO KITTY
となるともうNetflixを観るしかない。天気はドス曇りで寒いし、英語の勉強にもなるし。
アルゴリズムによってたどり着いた本作は、「Emily In Paris(もっと都合良いver)」といった佇まいで、普通に全然面白くなかった。最終話までは。
ラストシーン、ツンデレだったミンホがまさかの一言を飛行機で発したとき、私のなかの乙女が「あん♡ミンホ////」と雌叫びをあげた。
6月14日 パット
LAFCの「ブランディング&コミュニティ」で働くパットは私の未来の上司になるスタッフだ。リッチと共にクラブの未来を考える才能である。
そんなパットとは日頃から連絡をとっているが、肝心の選考に関しての連絡が全く来ない。
しびれをきらして電話をしてみると「本当に忙しくて全く進んでいないんだ、ごめんね」と話してくれた。
これを日本で考えると、いや、わたくし、とんでもないモンスター志望者ですやん。と我に帰るのだが、手段を選んでいるとなにも進まないので「ウザ日本人ルート」で攻めている。とはいえ、これ、いつになったら選考がはじまるんでしょうか。
パットはいつも「君の経歴は本当に最高、一緒に働こう」といってくれるんだけど、それはいつなんでしょう。この絶妙な焦らしに私のなかの乙女が「あん♡パット////」と雌叫びをあげている。
6月15日 粗品のチンチロ
すいません、本当になにもないんです。波乱万丈が。
「やることがないとき、アルゴリズムはあなたを殺す」と昔の人は言ったけれど、もれなくYouTubeのおすすめにでてきた粗品のチンチロ動画で1日が溶けた。名場面に関しては繰り返し見すぎて暗記した。その能力を英語に生かしてくれボーイ。
確かにその映像はおもしろかったのだが、その内容をここに書いてもおもしろくないのは明白で、なにも起こらない日常を恨むしかない。そして一見羨ましいかもしれない海外での生活なんて本当にこんなもんである。返して1日目の激動。いややっぱり帰ってこないで。
6月16日 西海岸フリーウェイ
ボーッと、英語のPodcastを聴きながら、バルコニーから見えるフリーウェイを走る車の数を数えているときに、ひとは幸せを感じるのだ。時々東の空から飛んでくる、ちょうどサンタモニカ空港に着陸態勢に入った小さな飛行機をみたとき、とんでもない幸せを感じるのだ。
ここにきてから、小さな幸せを感じることが増えたように思う。
先日、近所のスーパーで「パンダエクスプレスのオレンジチキンのタレ」を発見したとき、友だちにシェアするくらい嬉しかった。それはこの国における食べ物のチープさと費用の高さゆえだと思うけれど、幸せなんて所詮、あてがう「ものさし」によって大きく異なるんだろう。煌びやかな芸能人は、一般人が感じ得ない苦悩を抱えているだろうし、今日も整形して芸能人に一歩近づくひともいる。
私に暇つぶしと小さな幸せを与えてくれるフリーウェイだって、高架下には無数のホームレスがいる。英語が話せるとか、仕事ができるとか、そんなことよりもいろんな角度から物事をみる機会をくれるから”外”にでることはいい。
6月17日 ほぼ
近所の日系スーパーで納豆が特売になっていた。
ウォルターに買ってもらった炊飯器でお米を炊いて、納豆と一緒に食べた。
少し遠出して、美術館に行った。
日本の古民家風な建物をそのまま会場にしたそのスペースは、竹が生い茂っていて、葉が風に揺られて心地よい音を奏でていた。
帰りに乗ったUberはトヨタのプリウスで、知っている車種なのに左ハンドルなそれがおかしかった。
夜、寝る前に小説を少し読んで、MONO NO AWAREを数曲聴いて寝た。
6月18日 VAR
理由が全くわからないのだが、数日前から中国人のマタニティフォトがインスタのおすすめを占拠するようになった。どういうアルゴリズム?
サンタモニカ・ダウンタウンの駅を降りて、サンタモニカ・ピアを横目にベニスビーチへ自転車を走らせる。サイクリングロードの右手には陽気な人々とその先に続く水平線。なんて、なんて素敵なんでしょうか。
ベニスに到着すると、さっそく彼らは揉めていた。
ボールがタッチラインを割ったか割っていないかで、取っ組み合いになっていた。すかさずひとりが「おいガク、いまのラインを割っていたよな」と話しかけてきて、喧嘩の矢印が私に向いた。
咄嗟に耳に手を当てて、VAR室と交信している風にして独り言をぶつぶつ言ってみたところ、全員に無視された。西海岸の果てでめちゃくちゃスベった。やはりVARはクソ。考えたやつはバカ。