結婚式当日撮影には絶対に撮り逃してはいけない瞬間がある。
その瞬間だけは連写機能を使用し、両脇をしっかりとしめて、ファインダーを覗く。
「2秒だけでいい、静止してくれ」と願いを込めてシャッターを切る。
お察しの良い方であればお気づきかもしれないが、その瞬間とは「キスシーン」である。
挙式のリハーサル時に担当者から新郎新婦に「キスシーンはゲストの方も撮影されるので3秒ほどお願いしますね」と伝えられるが、人間というのはすぐに忘れる生き物。
リハーサルを終えた頃に直接「恥ずかしいかもしれないですが3秒お願いしますね」と、一言添えるようになったのはキスシーン0秒代を記録した新郎新婦に出会ってから。
幸いにも撮り逃しは免れた。
常にどんな状況でも念には念を。
と、こんなことを書いておきながら今日の試合で致命的なミスを犯してしまった。
第2節 神奈川大学SC
79分のシーンを振り返ろう。
開幕戦に続き1-0で前半を折り返し、57分に追加点の好機を逃した鎌倉インテルは79分にこの試合最大のピンチを迎える。
PA内で相手を倒してPKを献上。
鎌倉インテルの攻撃方向のゴール裏でカメラを構えていたわたしから見て、相手キッカーの背中が見える位置。
相手キッカーがボールをセットし、助走をとる。
キッカーはボールに対して45°に満たない約35°の位置に構えていただろうか。
この瞬間に3つの仮説を立てた。
・0-1ビハインドの状況で真ん中に蹴る勇気はない
・蹴る方向を予め決めており、直前に変えることはない
・ネイマールのような独特な蹴り方はしない
「左に蹴る」
両脇をしっかりとしめて、ファインダーを覗く。
予想は見事に的中。
キッカーが左に蹴ったと同時に栗山が右に飛んだ。
完璧に捉えたあたりは栗山をめがけて一直線。
SONYの瞳AFが栗山の目に飛び飛んだかと思われたが、判定はアウト。
致命的なミス。申し訳ない気持ちでいっぱいだ。
ミスをした時やボールを失った時に響き渡る「切り替えろ!」の声がまるで自分に言われているかのように聞こえた。
ミスをミスで終わらせてはいけない。
試合後、35mm単焦点で彼の表情を狙いに果敢に攻めた。
ほんの少しだけ、救われたような気がした。
チームは栗山のビッグセーブもあり、開幕戦に続きウノゼロの完封勝利。
開幕2連勝を飾った。
次節はHOME鳩スタに戻り開幕3連勝をかけた一戦に挑む。
まだまだシーズンは始まったばかりだ。
Date:04.09.2023
Location:Kanagawa University,Kanagawa