
3月5日、お笑いコンビ『カミナリ』の石田たくみと竹内まなぶが、川崎市とどろきアリーナで開催された川崎ブレイブサンダースvsシーホース三河戦にゲスト出演した。
メインミッションはこの日特別に企画された、観戦初心者を対象にした試合中継の副音声。初めてだというスポーツ実況にチャレンジした2人を追った。
「気になる選手はギンズブルグさんです」(竹内)

今回、当初はたくみさんお1人のオファーだったところを、たくみさんからの逆オファーでカミナリとして出演されたとうかがっています。

そうですそうです。墓場まで持っていこうと思っていた話を、今、バラされちゃった。

…すいません………!

2人にオファーがあったわけじゃないんだ(笑)。

ないない、まったくない。だってバスケ関係ない人だもん。でもまなぶが隣にいたほうがカミナリとして本領発揮できるかなと思って、カミナリでお願いしたっていう。

初心者目線だからね。大事だよね、そういうこと。

わざわざユニフォームまで作っていただいて。

たくみさんは「26」、まなぶさんは「27」の背番号をチョイスされていますが、理由は?

僕は子どもにゆかりのある番号にしました。

僕は親父のラッキーナンバーです。

たくみさんとバスケの関係はもちろん存じておりますが(中学時代に全国大会出場)、まなぶさんとバスケにはどんな接点があるんでしょうか?

僕らの地元って小学校が4つあるんですけど、全部にバスケの少年団があって、男の子はほとんどみんなそこに入るんですよ。でもうちは実家でスーパーをやってまして、ちょうど練習が始まる時間帯は忙しくて送り迎えができないって言われて、バスケと疎遠になってしまったというか。元々やる気はあったんですよ。身近に全国に行くような強いチームがあったので、本当にあこがれてましたね。バスケがうまい人は。

中学からサッカー始めたけど、「バッシュかっけえ」ってずっと言ってたよね。

そうそう。高校もサッカー部だったんですけど、僕、先生に媚びるのがうまくて下手なのにすごい試合に出てたので、周りのみんなに妬まれたり色々ありまして、「バスケ部に入ろう」って思ったことがあるんですよ。機能性重視のバッシュまで買って、昼休みにバスケ部の友達に教えてもらうという期間が1ヶ月ありました。だからバスケは常に隣にありました。

ターミネーター2について語るというYouTubeの企画で、お2人がパリオリンピックの日本vsフランスのお話をされていたのがすごく印象に残っています。たくみさんは言わずもがな、まなぶさんも「(八村塁が退場した後の)4クォーターに日本バスケの成長がある」と熱いことを話されていた。

あれ、一緒に俺ん家で見たんすよ。

スポーツ全般好きなんで、バスケも大事な試合は必ずチェックしてます。

Bリーグを生で観戦されたことはありますか?

僕はありますね。まなぶは初めて。(地元の)茨城ロボッツのハーフタイムショーに呼んでもらったことはあったんですけど、ケツがあったので盛り上げるだけ盛り上げて矢沢永吉のように帰りました。

ロボッツのハーフタイムショーは確か2回出させていただいたんですけど、1回目はネタをやってくれって言われたんです。俺がお客さんだったらハーフタイムに芸人のネタは見たくねえって思ったので、2回目はフリースロー対決にしてもらいました。

まなぶはスポーツにすごいリスペクトが強いんで、そういうふうに思っちゃうんですよ。そのわりには今日、ネタやってもいい衣装で来てんな。

まあまあ、一応ね。誰だかわかるようにしたほうがいいかなと思って。着替える前の服もチームカラーに合わせて来ました。お見せすることはないんですけど。

まなぶは早稲田(中退)なんで、この色が好きなんですよ。

あとはアントラーズのファンでもあるので。

意気込みをうかがってもいいですか?

バスケ好きの人がゆったり聞けて、かつ、試合の邪魔にならないような感じでやりたいですね。一応心がけたいのは、初観戦のまなぶに説明すること。バスケやブレイブサンダースを知ってる人も知らない人も楽しめるようなバランスで「バスケ見るのって楽しいよね」っていう人が1人でも増えるようにやりたいです。

サンダースだけにしびれる解説をしたいと思います。

つまりどういうことだって言えよ。しびれるとはどういうことだよ。

ちなみに、現時点で気になる選手はいますか?

(マッチデープログラムを凝視した後に)………ギンズブルグさんです。

スーツ着てっから選手じゃないな?(※ヘッドコーチです)

試合が始まると、2人は実況担当の伊豆蔵将太アナウンサーの説明を聞きながら「うまっ!」「ダンクって気持ちいいな!」と試合を楽しみ、時折バスケに関するエピソードトークを挟み込む。
第1クォーター終盤、川崎の篠山竜青がコートに立つと、石田は「俺の友達です」とうれしそうに言った。
石田は2月に、中学バスケ部時代に同じ大会に出場していたという縁で、当サイトで篠山と対談をしている。対談当日は連絡交換をしなかったが後につながったようで、「こないだご飯を食べに行きました」とコメント。篠山が3ポイントシュートを成功させると「来たよ、竜青ちゃん!」「もう友達として見てっから!」と興奮した様子だった。
今回実況音声を配信したサービスは、リスナーからのコメントがダイレクトに届く仕様になっていた。「好きなプレーは何ですか?」「スラムダンクで好きなキャラクターは誰ですか?」といったオーソドックスな質問の他に「スーパータケウチにバッシュは売ってますか?」「たくみさんの家で作っているメロンとバスケットボールはどっちのほうが大きいですか?」などと明らかにコアなカミナリファンであろう人からのメッセージも届いていた。
50-55の接戦で終わった前半から一変、第3クォーターはディフェンスの強度を高めた三河に大量リードを奪われる展開に。川崎に肩入れをしつつも「スピードでやられちゃってるな」「今のシュートは決めておきたかった」とスポーツ好きらしいフラットなコメントを発していた2人だったが、終盤の追い上げ時には仕事を忘れたかのように絶叫。家や居酒屋で、気の知れた友達と試合を観戦しているような気分になった。
ちなみにこの副音声、4月4日まで試合中継配信サイト「バスケットLIVE」の見逃し配信とあわせて楽しんでほしい。


いい意味で仕事をしている感じがなかった(石田)
副音声を終えた2人に、再び聞いた。

めちゃくちゃ面白かったです。特に第4クォーター。点数離れてたんで、スリーを打ちたくなるんですよ。で、大抵のレベルだったら結局入んないんすよ。スリー打ってボンボンって外れて、余計点差離れちゃって負けるパターンも多いんですけど、ズバズバ決めて、「お、これマジで逆転できるぞ」っていうのを4クォーターで感じられたのがよかったですね。サンダースファミリーの皆さんが川崎を応援したくなるポイントの1つだったのかなって思いました。

試合はめちゃくちゃ熱かったし、本当に初めて見に来る人とか初心者の方がハマるきっかけになるような、いい試合でしたね。負けこそしたものの、終わった後、ファミリーの方々が笑顔だったんで、スポーツの原点というか、楽しませる、楽しむっていうとこの目的は達成できてる試合だなって思いました。あと……僕、仕事的なところで言うと、約2時間集中が持ったのがけっこう久々で。
(石田が竹内の頭を叩く)


演出なども含めて、会場の雰囲気はいかがでしたか。

素晴らしいですね。僕、サッカーしか生で見たことないんですけど、サッカーにはない良さはやっぱ距離の近さ。Jリーグは陸上トラックのあるスタジアムが多かったりもするので、コートと近いというだけで素晴らしいです。あとはずっと間がないというか、ずっと演出がかかっていて、ずーっとずーっと楽しいっていう。

あと、ビデオ判定を見せてくれることとかね。

そうそうそう。やっぱサッカーはVAR(ビデオ判定のこと)をビジョンで見せる時と見せない時があるんですよ。あれってモヤモヤするんですけど、全部見せてくれたので。あとは中継中にコメントでもありましたけど、ルール解説がすごいていねいですね。あれは初心者からするともう本当にありがたいです。

今日体験できなかったのはアリーナ飯。やっぱスポーツ観戦にはごはんも付きものだと思うので、次とどろきに来る楽しみになりました。

たくみさんはアリーナDJの選曲にも興味を示されていましたね。

日本語ラップが流れたんで、びっくりして。『LAMP EYE』の『証言』って曲なんですけど、バスケって洋楽のイメージがあったんで。

証言はメッセージ性があるラップだよね。

そうそう。LAMP EYEってユニットなんですけど、その中に『KAMINARI-KAZOKU.』っていうグループの人がいるんで、だから流したのかなって。

初めての副音声はいかがでしたか。

楽しかったです。なんか仕事をしている感じがなかったっすね。いい意味で。伊豆蔵さんが色々話してくれるのを聞いた上で、まなぶとだべる感じだったので。聞いてくださったみなさんからもいい感想をいただけたし、これからももっとこういうことをやりたいなって思いました。

お二人と一緒にお酒を飲みながら試合を見ているような感覚になりました。

確かにそうっすね。

飲みたかったなあ〜。次は酒アリでお願いしたいです。

僕らが喫煙者っていう情報だけ届いていたみたいで、喫煙所のご案内はあったんですけど、酒好きという情報は届いてなかった(笑)。でもほんといい席で副音声できたんでね、見応えもあったし、アリーナで見る面白さはすごい感じました。

点差が離れた第3クォーターは、少しコメントしづらそうではありましたね。

不用意なこと言えないんでね。「絶対退場だろ!」とか。でもそれぐらいファミリーになってたんだなって。気づいたら。

どっちのボールだろうみたいになったとき、「川崎ボールかな」じゃなくて「マイボ」って言ってました。「マイボ!マイボ!」って。

すごいな、とか、面白いなと思った選手がいらっしゃったらぜひ教えて下さい。

やっぱりたくみの友達(篠山)がすごかったですね。大事なところでシュート決めて。

すげえっしょ、俺の友達。スリー3本中3本成功っすよね。フリースローもちゃんと3本決めたっつうことは4本中4本成功。

これからは「友達の友達」って言わせていただきます。

あとやっぱ、まなぶが言ってた監督、すごかった。

あ、やっぱすごかった?

すごかった。三河ボールになった時にヘッドコーチチャレンジやったんだけど、あれ多分三河ボールだろうがこっちボールだろうが、多分どうでもよかったんだと思う。タイムアウトと一緒のことできるっていう使い方。

ギンズブルグヘッドコーチは60歳で初めてアジアのリーグに来られたんだそうですよ。

うわ〜、すげえ挑戦してますね!

そういう人にまなぶが目をつけた。

1人だけ衣装が違かったからね。ネクタイ締めてたし。
この取材後、2人は「石田の友達」であるところの篠山と対面し、竹内もめでたく「篠山の友達」になったそうだ。
【「篠山竜青が今、考えていること」番外編】「篠山竜青が今、話したい人」 ゲスト:石田たくみ(カミナリ)
著者
青木 美帆(Miho Aoki)
