第77回ウィンターカップは、男子が3年ぶりとなる福岡大学附属大濠高校の優勝、女子は京都精華学園高校が3連覇・3冠達成をして幕を閉じた。
男子の決勝戦は、昨年決勝戦で敗れた福岡大学附属大濠高校と鳥取城北高校の決勝戦となった。前半こそは互角の戦いとなったものの、昨年のリベンジを期した大濠高校が#8渡邉の3Pで勢いに乗ると、同じく3年生の#32湧川や#14高田も随所で得点を重ね、77-57で勝利をつかんだ。特に湧川はゲームキャプテンとして随所でチームを落ち着かせつつ、特には積極的に得点を重ね、終わってみれば32得点と両チーム最多の得点を記録した。
大濠高校の3年生にとっては、ウィンターカップで掴んだ初めての優勝であり、試合後には昨年のリベンジを果たしたこともあり、各選手の表情には涙が見られた。
2年ぶりのメインコートを追いかけた「冬の洛南」
今大会においても、男子の鳥取城北高校、女子の慶誠高校が初の決勝に進出を果たした一方で、男子においては福岡第一高校や東山高校など上位進出常連校の活躍も目立った。「福岡県」「京都府」は例年都道府県予選から非常に熾烈になっており、枠の兼ね合いによっては、例年「ウィンターカップに出場できていれば上位に進出をできていた」と言われるような高校も都道府県予選で涙を飲んでいる。福岡県では、「福岡大学附属大濠高校」と「福岡第一高校」の2強体制が続いているが、京都では「東山高校」「洛南高校」に加え、昨年初出場を果たし2大会連続の出場となった「京都精華学園高校」や第75回大会で初出場を果たした「京都両洋高校」、第76回大会で25年ぶりの出場を果たした「鳥羽高校」など直近3大会を振り返っても非常に多くの高校が出場権を獲得している。
このように非常にウィンターカップ争いが激しくなっている京都において、今回2年ぶりの出場を果たした「洛南高校」に注目をして、今大会を追った。前述の通り、洛南高校は1971年から続いていた全国大会の出場記録が2018年にインターハイ、ウィンターカップともに逃したことで途切れると、2023年にも再び両大会の出場を逃すなど、近年他の高校の台頭もあり、非常に厳しい戦いを強いられている。
一方で、これまでの歴史を振り返ると竹内兄弟や比江島などこれまで多くの日本代表選手を輩出し、京都だけではなく日本の高校バスケ界を引っ張ってきた高校であり、特に2006年から2008年にかけて能代工業高校以来となるウィンターカップ3連覇を果たすなど、「冬の洛南」としての存在感を発揮してきた。
今大会においても「冬の洛南」の存在感を発揮する非常に好ゲームが続いた。
まず、1回戦の対戦相手は高知県の尽誠学園高校。渡邊雄太を輩出した名門校であり、激しい戦いが予想されたが、従前の予想通り、前半戦をほぼ互角で折り返したものの、4Qの頭には59-68と9点のビハインドを背負う厳しい展開に。しかし要所での4連続オフェンスリバウンドなど、随所で集中力の高さを見せ一気に逆転をすると、相手の反撃を抑え、78-74と4点差で勝利を上げた。3Pシュートの確率が24.2%に対して、相手が44.4%と、ターンオーバーも相手の15個に対して20個となかなか流れに乗れるような展開ではなかったものの、オフェンスリバウンド20本を含む47リバウンドをチームで獲得をするなど、球際での集中力を発揮することで、接戦をものにした。
2回戦の相手は三重県の県立四日市工業高等学校。この試合では1Qからシュートが非常に効率よく決まり、1Q終了時点で28-12と大量リードを獲得。その後もどのQでも相手にリードを許すことなく危なげなく試合を展開し、98-69で勝利。ベンチメンバー全員出場し、それぞれの役割を果たしながら3回戦に進出を果たした。勝利をすればメインコートでの試合となる3回戦。対戦相手は昨年のウィンターカップ覇者である福岡県の福岡第一高等学校。名門対決ということもあり、最初から激しい戦いになることが予想されていたが、洛南高校にとっては非常に重たいスタートとなった。
0-16。最初から6本連続シュートを外した洛南高校に対して、福岡第一高等学校は着実に得点を重ね、1Q残り5:39の段階で0-16と16点のビハインドを背負う展開に。その後#8田中のフリースローで初得点を上げたものの、なかなか流れを掴み切ることができず、1Q終了時点で8-22と14点のビハインドを背負った。
昨年のウィンターカップ覇者に対して、この流れで厳しいと思われたものの、そこから勢いを取り戻せるのが「冬の洛南」。2Qでシュート確率を上げ、4点差まで迫ると、3Qで再び点差を広げられたものの、4Q残り2:10でこの日最小点差となる3点差に。このままの流れで逆転といきたかったものの、そこは福岡第一が一枚上手。#33宮本や#10宇田が得点を重ね、点差を詰めることができず65-71で洛南高等学校は残念ながら3回戦敗退となった。
残念ながら2年ぶりのメインコートに立つことはできなかったが、府予選からウィンターカップまで着実に昨年からのリベンジを果たしてきた洛南高等学校。ここ近年特に苦戦を強いられている要因としては、「留学生」の存在が挙げられる。同じ京都から今大会に出場している東山高校、京都精華学園高校はそれぞれ2m超えの留学生選手を2名チームに抱えており、3回戦で敗退をした福岡第一にも留学生が2名おり、高さの壁という点では留学生がいないが故に苦しんでいることは否めない。
また、日本人選手のリクルートという点においても、中学時代から全国区に名前を轟かせているチームが多く獲得できているとは言い難く、他のチームがリクルートに力を入れていることで選手の獲得が容易では無くなっていることは想像に難しくない。その一方で、今大会福岡大学附属大濠高校は留学生なしで、優勝を成し遂げており、渡邉伶音という将来の代表を担うであろう日本人ビックマンはいたものの、留学生なしでも優勝をすることを証明してみせた。
今大会は残念ながら3回戦で敗退となったものの、今大会準決勝に進出を果たした東山高校、女子では優勝を果たした京都精華学園高校とともに今後の京都のバスケ界のみならず、日本のバスケ界を盛り上げていくであろう洛南高校のさらなる活躍を期待していきたい。