
第45回日米大学野球選手権大会、第2戦。最終スコア8-1と、侍ジャパンが前夜に続く大勝となった。しかし、点差の印象ほど安心できるゲームではなかった。現場カメラのフォトハイライトを交えながら振り返る。
苦手意識のあった、立ち上がりを克服。
アメリカ代表の先発はレンフロウ。初回、2回とシングルヒットを度々許しつつも要所を抑え、得点を許さない。

日本の先発は中西聖輝(青山学院大)。前夜の先発・伊藤樹(早稲田大)と共に、堀井監督が投手陣の軸として信頼する右腕だ。期待を背負い上がったマウンドでは、初球からキレの良い150キロのストレートを投じた。四球は許しながらも、3回までは無安打無得点に抑える。1週間前の横浜DeNAベイスターズ2軍戦では、初回に失点を許していた。その時に堀井監督・森本コーチらからかけられた「いいボールを投げているのだから、立ち上がりに特別な苦手意識を持つ必要はない」という言葉を胸に、素晴らしい序盤の投球を見せた。
榊原七斗が3安打4打点の大暴れ。
先制点は3回。先頭の1番・松下歩叶(法政大)が四球で歩くと、2番・榊原七斗(明治大)が右中間を破る先制タイムリーツーベース。


ワンナウト二塁と変わってから、4番・立石正広(創価大)が三遊間深いところへ打球を転がす。これを昨日ファインプレーを連発した名手・チョロスキーがファンブル。
見逃さず、二走・榊原が一気にホームイン。昨日と同様、ミスに乗じて得点を奪った。

4回表には振り逃げ、四球でワンナウト一・二塁とし、打席には松下。強く振り抜いた当たりは高く弾んだゴロとなり、サードの頭を超えるヒットに。貴重な3点目を奪う。続く榊原はライトへ3ランホームランを放ち、6-0と一気にリードを広げた。榊原は今日3安打4打点と、打のヒーローとなった。
5回表には、ワンナウト満塁から大塚瑠晏(東洋大)の犠飛と、松下の今大会初安打となるタイムリーで2点を追加。8-0とアメリカ代表を突き放した。しかし、以降4イニングは打線が沈黙することとなる。
中西聖輝、要所を締める熱投。流れを渡さず。
中西は4回に初のヒットを許すも後続を難なく打ち取り、危なげない投球を続けていく。しかし、
5回から徐々にアメリカ打線のタイミングが合ってくる。8番のヘルフリックにはセンターへ大飛球を打たれるも、フェンス手前でグラブに収まった。「危ねえ」と口にしつつ、この回も無失点で乗り切る。



6回表の攻撃では初めての三者凡退に抑えられた。この回から登板し2イニングを投げたリンチ、8回から登板したデュダンの2人からは4イニングをゼロに抑えられ、コールドゲーム(7回裏以降、10点差がついていた場合試合終了)の成立を阻止される格好となった。

6回裏、中西はセンター前へタイムリーを浴び初の失点。しかしこの後、雄叫びをあげながらの気迫の投球を展開した。後続を断ち、結局6回を3安打1失点で乗り切った。5つの四球を与え塁上を賑わし、大きなファールや外野フライを打たれひやりとする場面もありつつ、要所をきっちりと締め流れを渡さなかった。


侍のブルペン陣、安定感抜群のリレー
7回からは侍ジャパンも継投に入る。今大会初登板の宮城誇南(早稲田大)がマウンドへ。三者三振で抑え、点を取られた直後のイニングでこれ以上ない仕事をやってのけた。


8回は毛利海大(明治大)。昨日からの連投となったが、毛利もまた三者三振を奪う快投。100キロ台のカーブと140キロ台後半の強いストレートを効果的に投げ分けた。普段は先発投手として活躍する2人だが、慣れないリリーフでも見事に結果を残した。
最終回に登板したのは、齊藤汰直(亜細亜大)。先頭をライトフライ、続く7番・ベッカーにシングルヒットを許すも、後続2人を連続三振。150キロに迫る直球と10キロほどの球速差のフォークを低めに集め、危なげなく試合を締めた。


数字だけを見れば、日本の完勝と言っていい結果だが、後半4イニングのような展開が最初から始まり、「あわや」という打球がホームランになっていれば……と思うと手放しで喜べる試合とも言えない。明日は移動日となり、11日からは新潟で第3戦・4戦を戦う。無論、侍ジャパンは3連勝を目指すが、アメリカが見せてくるであろう「意地」には大いに警戒が必要だ。




PROFILE
梶 礼哉(Reiya Kaji)
