BASEBALL

早大・伊藤樹が4回無失点。愛知学院大・杉山諒のスクイズで光った“勝ち方”の練習|7月2日(水)侍ジャパン大学代表 vs. 三菱重工East(バッティングパレス相石スタジアムひらつか)

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photo by Reiya Kaji / text by Reiya Kaji

7月8日にエスコンフィールドHOKKAIDOから開幕する、第45回日米大学野球選手権大会。

メジャーリーガー予備軍とも言えるアメリカ代表に対抗すべく編成された侍ジャパン大学日本代表は、開幕を前に3試合の練習試合を行った。

初戦の相手は、三菱重工East硬式野球部。昨年の都市対抗野球でも優勝し日本一となった、社会人の超名門チームだ。調整段階での練習試合ではあるものの、注目度の高い試合となった。

大方の予想に反して、最終スコアは14-2。侍ジャパン大学代表が投打で力を見せつけた。

先発・伊藤樹が上々の仕上がりを披露

初の対外試合の先発マウンドを任されたのは、早稲田大学の伊藤樹。堀井監督から、「投手陣の中心」として期待を寄せられるひとりだ。5月のリーグ戦では東京六大学リーグで史上26人目となるノーヒットノーランを達成しており、ストレートとスプリットのコンビネーションが冴え渡る本格派右腕である。

この日も4イニングを56球でまとめ、被安打は僅か2、四死球もゼロ。140キロ台後半の直球とスプリットで、三菱重工打線を翻弄した。キャッチャーを務めた渡部海(青山学院大)との息も合い、危なげのない投球を披露した。

強力打線の中でこそ目立った、杉山諒のスクイズ。

14得点を奪った打線は凄まじかった。ドラフトでも注目の4番・立石正広(4年・創価大)は3安打の猛打賞。秋山俊(中京大)、小田康一郎(青山学院大)、山形球道(立教大)の3人がホームランを放つなど、豪快な攻撃力の高さを示した。

猛打賞の立石
2回にツーランを放った小田

その中でも緊張感が高まったのは、9イニングを消化した後に行われたタイブレーク練習。延長10回から走者一・二塁から始まる攻撃となり、本大会でも採用されている。

先頭は代打・勝田成(近畿大)。バントを試みるも2ストライクと追い込まれたが、なんとかバスターでゴロを転がし、ランナーを進める。

最後に打席に入ったのは、途中出場の杉山諒(愛知学院大)。最も緊張する場面でのスクイズを鮮やかに決め、タイブレークでの勝ち方における一つの正解を示した。

50mを5.7秒で走る、足のスペシャリストである点が評価されての代表入りとなった。試合終了後の囲み取材で「リーグ戦ではスクイズはしない」と本人も語っており、大学では俊足巧打の1番打者として活躍している。しかし、今回のチームでは代打・代走・守備固めなど試合終盤の切り札としての活躍を期待されている。試合に途中から入っていくための調整について尋ねてみると、力強いコメントを残してくれた。

「怪我とか、何があるかわからないので。外野とのキャッチボールでも体を動かしたりして、1回表から行けるように準備をしています。」

初の対外試合を圧勝で飾った侍ジャパン大学日本代表。選手一人ひとりが与えられた役割を果たし、チームとしての完成度の高さを感じさせた。開幕を目前に控えた今、彼らの仕上がりは上々だ。アメリカ代表を迎え撃つ準備は、すでに整いつつある。

PROFILE

梶 礼哉(Reiya Kaji)
梶 礼哉(Reiya Kaji)
北海道江別市出身のフォトグラファー / ビデオグラファー / ライター。小樽商科大学在学中の2017年、ドイツ野球ブンデスリーガ傘下(地域リーグ)バイロイト・ブレーブスでプレー。MAX100km/hの直球と70km/hのカーブを武器に投手としてそこそこの活躍を見せる。卒業後、紆余曲折を経て株式会社ワンライフに所属。FERGUSでは撮影とインタビュー・執筆を担当。

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